7月読書記録 熊井達也 著 ”邂逅の森”

2021/07/30(金) 設計

邂逅の森 表紙

第131かい直木賞受賞作の長編小説。

 いわゆる”グロイ”内容の小説で、その内容に圧倒されてしまいました。

話は昭和初期の頃の東方地方の”マタギ”の話で、マタギの中でも”旅マタギ”と呼ばれる地元中心のマタギではなく、他の地域へ遠征していく厳しい条件で狩りをするマタギの話で、当時の”マタギ”事情が詳細に描かれている力強い内容でした。単に熊やカモシカを狩る話では終わらず、話の流れで鉱山の鉱夫の話へと展開していき、最後は森の主とも云える熊と壮絶な知恵比べへと話が展開していく大河小説とも云える話となっていました。

終盤の巨熊との対決は私が中学生の頃に読んだヘミングウェイの”老人と海”を彷彿とさせる内容で、読み応えがあるとともにその描写が”マタギ”を調べ尽くした者でないと描けないリアル感と迫力でした。

読後に、ヘミングウェイの”老人と海”を読み返してみたいなどと考えてしまうほど、巨熊との対決シーンがヘミングウェイを彷彿とさせる強烈なイメージの小説でした。