自然素材の家を建てる前に知るべき事実 ― 素材別のメリット・デメリット
自然素材の家を建てる前に知るべき事実 ― 素材別のメリット・デメリット
写真:当社お客様 I様
2000年頃から住宅と健康への意識が日に日に高まり、自然素材の家が建築業界を席巻しています。技術の進化に伴い化学物質を利用して利便性の高いものが世にはびこっているなか、自然素材はある意味その逆を行くアイデアで、住宅の本質を改めて見直す住宅といっても過言ではないでしょう。
「調湿効果」「意匠性」「健康促進への貢献」という最強とも言える魅力を備えた自然素材の家。一方で当然デメリットもあり、新築戸建てを自然素材で建てたいと検討する人は、必ず事前に情報収集するのが得策です。
人生最大の買い物と呼ばれるマイホームです。とことん納得のいく家にしたいと考えるのは当然。子育ての軸、人生の大半を過ごす場所、老後を快適に過ごすためにも、本稿で紹介するポイントを把握して、ご自身に合う自然素材の家を建ててください。
【目次】
- 自然素材の家ってどんなもの?
- 自然素材の種類
- 自然素材の中でもデメリットが多い素材
- 自然素材の家と従来の家を比較
- 自然素材の家はどんな人におすすめ?
- 自然素材の家を建てない方がいい人
- 価格を抑えるための極意―自然素材を使うべき箇所の優先順位
- メンテナンス方法
- 自然素材の家を中古で買うのはありか
自然素材の家ってどんなもの?
そもそも自然素材とは何なのでしょうか?一般的によく言われるのが、人体に害のある化学物質が発生する接着剤や塗料が使われていない素材だということです。
自然素材には色んな種類が存在します。代表的なものは「無垢材」「漆喰」「珪藻土」の三つ。無垢材は、床・壁・天井といった内装材やインテリアに使われます。漆喰と珪藻土は基本的に壁に塗るものです。
1980年以降に急増したシックハウス症候群が一つの例ですが、その他にも化学物質過敏症やアトピー性皮膚炎、気管支喘息といった病気は室内の不衛生さに原因があります。その解決策として、化学物質が使われていない「健康に良い自然素材の家」のニーズが高まっているのです。
関連記事:病気になる家の特徴と予防策 ー 家族や子供の体調不良は家にあり
自然素材の家の事例紹介 ~ 埼玉・千葉編
百聞は一見にしかずという言葉を借り、まずは埼玉と千葉の自然素材の家の事例を写真とともにご紹介します。
写真:当社お客様 S様
ドイツ産もみの無垢材を使用した自然素材の家です。床と天井を無垢材、壁は別の素材を使うことで、メリハリのある意匠性となりました。
ホタテの殻を塗った自然素材の壁。一般的なビニールクロスは貼り付け作業の際に必ず接着剤を使用するため、室内の化学物質濃度が高まります。ホタテの殻の他にも漆喰や珪藻土が壁に使われる代表的な自然素材です。
写真:当社お客様 I様
脱衣所など、水回りに自然素材を置くのは非常に有効的な手段です。自然素材は基本的に調湿効果のあるものが多く、湿気が溜まりやすい場所に自然素材を増やすことで、ジメジメとした空気が解消されます。
写真:当社お客様 I様 |
写真:当社お客様 J様 |
調湿効果と消臭力が最大限生きるのはウォークインクローゼットとトイレ。モミなどの調湿力が高い樹種を使うと、当たり前のように室内干しが可能となります。消臭力も高く、適度な木の香りを発するため、トイレも心地よい空間に生まれ変わります。
写真:当社お客様 I様
おうち森林浴という言葉を聞いたことはありますか?自然素材、なかでも無垢材はフィトンチッドというリラックス成分を放出することで有名です。ストレスの溜まるミーティングや集中力が必要なデスクワークも自然素材に囲まれていれば捗るかもしれません。
関連記事:森林浴効果を自宅で再現するには?
自然素材の家の特徴/メリット・デメリットは?
自然素材の家がどんなものかイメージで掴めたところで、メリットとデメリットを紹介します。
【メリット】
- ダニやカビが繁殖しにくい
- 調湿性が高い
- 断熱性が高く、夏に涼しく冬に暖かい
- 耐久性が高く地震の揺れにも強い
- 健康にいい
【デメリット】
- へこみや傷が付きやすい
- 建築コストが高くなる可能性がある
- 無垢材に反りやひび割れが起こりやすい
デメリットにはよく「メンテナンスが大変」と書かれていますが、実際にメンテナンスはそこまで大変ではありません。後の項目で素材別のメンテナンス方法を詳しく紹介しますが、基本的には乾拭きでホコリを拭き取るだけ。得られるメリットを見ると、大した手間ではないと思う方がほとんどです。
関連記事:"自然素材の家"、"無垢の家"とは?知っておきたいメリット・デメリット
関連記事:自然素材の家を建てる前に要チェック!後悔する具体的なパターンを紹介
自然素材の家が注目されたきっかけ
日本は昔から9割以上が木造住宅です。1990年頃からデザイナーズマンションでよく見られる鉄筋コンクリート造が台頭し、木造住宅の需要が下降しているかのように思われがちですが、2022年現在においても、新築戸建てに関しては9割以上が木造住宅であるという事実は変わりません。
では、なぜここにきて „自然素材の家“ というものが注目されているのでしょうか?
実は、関東大震災が起きた1923年、そして敗戦後の1950年代など、復興需要であまたもの木材が必要となったのにも関わらず、従来の生産方法では供給が追いついていませんでした。
そこで木材を自然乾燥ではなく人口乾燥にしたり、ビニールクロスや合板フローリングといった代替品を普及させることで、復興を早めたという歴史的背景があります。
„人工的に造られた素材“ は非常に安価で便利である反面、ものによっては化学物質を大量に揮発し、人体に害を及ぼします。復興期を乗り越えた日本ですが、その化学物質が原因で1980年代からシックハウス症候群を訴える人が増え始めます。
シックハウス症候群とは、室内の空気に溶け込んだ化学物質が原因で体調不良を引き起こすことです。このままではいけないと2003年に建築基準法が改正され、シックハウス症候群の事例は減少していきました。
そして、シックハウス対策の一つとして注目を浴びたのが自然素材の家です。自然素材は化学物質を極力使わない素材で建てられた家なので、住む人の健康に良いというのが最大の強みなのです。
関連記事:自然素材の家が増えている理由 ― 千葉・埼玉の事例紹介
自然素材の種類
自然素材というのは明確な定義のある言葉ではありません。歴史の流れの中で生まれた言葉であるがゆえに、人や会社によって定義が異なる場合があります。ですが概ね、化学物質を揮発するかしないかで線引きするのが正しいとされています。
関連記事:木造住宅に使う木材の種類を比較!知る人ぞ知る建材とは?
無垢材
【メリット】
- 調湿効果
- 消臭効果
- カビ・ダニの発生を抑制
- 断熱性が高く、夏に涼しく冬に暖かい
- 健康にいい
【デメリット】
- コスト高
- 傷やシミが付きやすい
- 水に弱い
無垢材は自然素材の中でも頭一つ抜けて優秀な素材です。中でも調湿性に関しては漆喰や珪藻土よりも圧倒的な高い数値を出す樹種もあり、自然素材の家を建てるのであれば、必ず取り入れるべき素材です。
では一体どの樹種がなぜそんなに高い調湿性を誇っているのでしょうか。
様々な企業がJIS規格にのっとって調湿力試験を行っていますが、その結果、自然乾燥されたモミの木が最も高い数値を出しているのです。
参考記事:調湿効果が高い自然素材はどれ?本当は珪藻土よりモミの木
大前提として、ここで比較している珪藻土もその他の木材も調湿力がないわけではありません。ただし、正しい工程で自然乾燥されたモミはがその中でも群を抜いて高い調湿力を発揮したのです。
理由は主に二つあると考えられています。一つは、木の壁孔が綺麗に残っていること。合板や表面が一度加工されてしまう木材は、本来湿気が出入りするはずの壁孔という無数の穴が潰されてしまう、もしくは塞がれてしまい、吸放湿性が著しく悪化するのです。
湿気を放出し乾燥している壁孔 |
湿気を吸い込み白くなった壁孔 |
写真:埼玉県産業技術総合センター撮影/走査型電子顕微鏡による自然乾燥させたドイツ産モミの木の試験
もう一つは、測定時に柾目を使用したことによる効果です。柾目とは、木目の入り方のことを言います。丸太のカットの方法により、年輪が向く方向が変化します。柾目とは、年輪が縦にまっすぐ入った木材のことを指します。
マグロで言うところの大トロと一緒で、最も希少な部位となる柾目の木材は性能が高い分、比較的高価となります。
このような理由から、自然素材であること、そしてさらに柾目であることが調湿効果を最大限引き出すための条件となるのです。
漆喰
【メリット】
- 殺菌効果
- 調湿効果
- カビ・ダニの発生を抑制
- 防火効果
【デメリット】
- コスト高
- 傷やシミが付きやすい
- ひびが入りやすい
漆喰も調湿効果と殺菌効果に定評があり、さらにそのデザイン性の良さと高い防火性から人気の自然素材の一つです。難点としては、手垢の汚れや家具の跡がつきやすい点です。ビニールクロスのように簡単に貼り替えられるほど安価なものではないので、業者にお願いして塗り替えてもらう必要があります。
珪藻土
【メリット】
- 調湿効果
- 消臭効果
- 防火効果
【デメリット】
- コスト高
- ぼろぼろ粉が落ちやすい
- カビが生えやすい
- 樹脂が混ぜられ自然素材ではないものもある
珪藻土も調湿力が高い優秀な自然素材です。漆喰と同じように防火性にも長け、床と天井を無垢材にして壁材は珪藻土にする、というのも良い選択肢です。
その他
世の中には „自然素材“ を謳った商品が散在しますが、実際どこまで本当に自然素材なのかを一般の方が判別するのは至難の業です。上述した珪藻土でも、固めやすくするために樹脂が混ぜられていることもありますが、そうなると化学物質入りの普通の壁材です。
無垢材においても、表面に自然系ではない塗料が塗られていれば、素材自体が自然でも化学物質が揮発しているかもしれません。結局のところ大事なのは、ご自身の身体で体感し、匂いを嗅ぎ、違和感がないかどうかをモデルハウスで確かめることでしょう。
自然素材の中でも注意が必要な素材
自然素材でありながらがらもメリットをデメリットで相殺してしまような注意が必要な素材も存在します。
畳
畳は昔から日本の住宅に存在する自然素材です。肌ざわりや香りに癒しを感じる人も多いでしょう。フローリングが主流になりつつある現代でも、一室は畳の部屋がほしいという方は少なくありません。では自然素材のメリットを相殺するデメリットは一体なんなのでしょうか。
【メリット】
- 調湿効果
- 断熱性が高く、夏に涼しく冬に暖かい
- クッション性
【デメリット】
- ダニやカビが発生しやすい
- 家具を置くと跡がつく
- 汚れやすい
- こまめなメンテナンスが必要
このダニやカビが発生しやすいというのが大きな問題です。無垢材などの自然素材が健康にいいと言われているのは、ダニやカビの発生を抑えることにより病気を予防しているからです。
ダニやカビが室内に繁殖すると、アトピー性皮膚炎や気管支喘息を原因になり得ます。赤ちゃんの肌荒れの原因にもなるため、ダニ・カビというのは極力抑えるのが衛生管理の鉄則です。
畳やカーペットから木の床に改装するだけで、ダニの繁殖が盛んな8・9月の1平方メートルあたりの平均ダニ数が104匹から23匹に激減したという研究結果もあります。
自然素材の家づくりをテーマに置いてる場合は、畳の使用は再検討した方がよいかもしれません。
※高岡正敏ほか、日本衛生学雑誌,42,223(1987)をもとに作成
アレルギーを起こす素材
素材が一般的に優れていたとしても、自分の身体がアレルギー反応を起こしてしまうケースもあります。事前にアレルギー持ちを把握していればその素材を回避することは可能です。もし分からなければ、やはりモデルハウスで体感して問題ないか確認が必要でしょう。
稀ではありますが、たまにアレルギーを起こしてしまう素材を以下に紹介します。
- 塗料としての漆(うるし)
- 漆喰
自然素材の家と従来の家を比較
ここで一度一歩引いて視野を広げてみましょう。自然素材の家がどうなのかだけではなく、従来の家と比べてどうなのか、客観的に見てます。
関連記事:自然素材の家を埼玉・千葉で建てるなら ー 天然の強みを最大限活かした事例
住み心地
内装材が自然素材でできていると家の中の空気が圧倒的に改善されます。在宅ワークが浸透している中、自宅の環境が良いと集中力が増し、ストレスも軽減されるでしょう。
樹種によりますが、無垢材を使うことで適度な木の香りを堪能することもできます。消臭効果もあるため、前日の焼肉や洗濯物の臭いが気になるということも滅多にないはずです。
また、デザイナーズマンションによくある鉄筋コンクリートと比べると、体感温度が飛躍的に向上します。鉄やコンクリートは熱伝導率が高く、鉄は木材の約830倍、コンクリートは10倍。これはつまり、外の気温が低ければ素材の温度も下がり、肌触りが冷たくなるということです。木材はその逆で、冬は暖かく、夏は涼しく感じます。
関連記事:夏涼しく冬暖かい家に住みたい!鍵となる高気密・高断熱のデメリットはなくせる?
メンテナンス
自然素材の家はメンテナンスが大変というデメリットがあるのですが、どんな素材でもお手入れは必要で、結局のところ大きなデメリットとして数えるほどではありません。
後の項目で素材別のメンテナンス方法を紹介しますが、普段は乾拭きで十分。水拭きはする必要がなく、特定の汚れが付いたときだけ適切な対処が必要になります。
また、自然素材、特に無垢材の良さは経年美化するところです。何百年と経過する今日でもなお趣がある神社やお寺は、無垢材が経年美化したから。ヨーロッパにあるオシャレな木造りのカフェも、多少の汚れや傷を含めてその価値を高めています。
関連記事:掃除しやすい家づくりのコツ6選!マイホームをきれいに保つ方法
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コスト
コストは従来の作りの家より上がる可能性が高いです。ですから予算に自信のない方は何から何まで自然素材にするのではなく、適材適所で自然素材を取り入れるようにすると十分手の届く範囲の価格となります。
とは言え、結局何と比較するかにより価格は変わり、自然素材を一切使わない木造の建売住宅と比較するとコスト高となりますが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造ほど高くはならないケースがほとんどです。興味のある方はまずハウスメーカーや工務店に相談してみるのが鉄則です。
関連記事:自然素材の家を建てたい人が考えるべきこと ー コスト削減の極意は
自然素材の家はどんな人におすすめ?
様々なメリットを持つ自然素材の家ですが、結局のところどんな人に適しているのでしょうか?自然素材の家をオススメできる人の特徴は大きく分けると二つあります。
- 特定の病気を抱えている
- より良い生活をしたい
患っている病気の一因が家にもある場合、当然のことながら家づくりの段階で気を使う必要があります。また、そこまでクリティカルな要因がなくても、よりよい生活をしたい、子供には衛生的かつ気持ちよく暮らしてほしいという想いで自然素材の家を建てる人もいます。
関連記事:自然素材の家のメリット・デメリットは?こんな人にオススメ!7つの具体例
写真:当社お客様 J様
特定の病気を抱えている
次の病気には一定の効果があると様々な研究データで立証されています。
- 花粉症(関連記事:花粉症が家に帰るとひどくなるのはなぜ?)
- アトピー性皮膚炎(関連記事:大人のアトピー/子供のアトピー)
- 気管支喘息(関連記事:メンタルと喘息の関係性)
- シックハウス症候群(関連記事:新築のシックハウスはいつまで?)
- 化学物質過敏症(関連記事:化学物質過敏症は難病?何科?)
- 免疫力を高めたい(関連記事:家が免疫力を高める?自宅で森林浴効果を得る方法)
例えばアトピー性皮膚炎の原因は、建材や家具から発生する有害化学物質、布団・畳・カーペットから発生するダニにあるとされています。自然素材で家を建てれば、化学物質の発生を削減し、ダニの繁殖を抑えられるため、アトピー性皮膚炎対策として効果的なのです。
その他の病気にも同じことが言え、室内の環境が原因で発生する体調不良とというのは実は本当にたくさんあるのです。病気になりやすい家の特徴は、カビ・ダニ・ホコリ・高湿度・タバコ臭い・高い化学物質濃度などです。これらの原因を見ての通り、すべて自然素材や無垢材のメリットで対策することができます。だからこそ自然素材の家が脚光を浴び続けているのです。
より良い生活をしたい
特定の病気を持っていなくても、自然素材の家を買いたいという人はたくさんいます。それはご自身の老後のためであったり、子供により良い環境で育てるためであったり、目的は様々です。
自然素材の家は、有害化学物質が多い従来の家より室内の空気環境が明らかに改善されるため、シンプルに居心地が良く、さらには将来的な病気の予防にもなります。マイホームとはそもそも人生に一度の最大の買い物と呼ばれるため、それだけ妥協せず作るというのは理にかなっているでしょう。
写真:当社展示場
自然素材の家を建てない方がいい人 ― 後悔するパターン
逆に自然素材の家を建てて後悔するパターンもあるので注意が必要です。具体的に次の項目に当てはまる人は、再検討が必要です。
- 細かな傷や跡が気になってしまう人
- 品質や見た目が統一されていないと嫌だという人
- 移り気が極端に激しい人
- 自然素材に対するアレルギーがある人
1~3までは自然素材ならではの特徴が裏目に出てしまうパターンです。無垢材でも漆喰でも珪藻土でも、傷や跡、ひび割れのリスクというのは存在します。これらの自然素材は決して安くはないため、頻繁にリフォームができず、ある程度傷みを受け入れながら生活する必要があります。
子供が物を落とせばへこむ可能性もありますし、ケチャップやマヨネーズをこぼせば多少シミが残ってしまうこともあるかもしれません。このような経年変化は耐えられないという人は、自然素材の家の暮らしには向いていないかもしれません。
関連記事:自然素材の家を建てる前に要チェック!後悔する具体的なパターンを紹介
価格を抑えるための極意―自然素材を使うべき箇所の優先順位
自然素材の家のデメリットはコスト高だというのは明白な事実です。とは言え、場所を限定することでコストを大幅に下げることができます。では、具体的に家のどの箇所を自然素材にすべきなのでしょうか?
結論から述べると、床に自然素材を使うのが最も効果的です。人が室内で吸い込む空気の50%以上が床付近に滞留しているものだからです。寝ている人の場合は70%が床からの空気を取り込んでいるため、迷ったらまず床を自然素材にしましょう。
関連記事:自然素材の家を建てたい人が考えるべきこと-コスト削減の極意は "適材適所" と "優先順位"
メンテナンス方法
何十年と生活する家。清潔に保ちたい、経年美化する姿を見たいと思うのは当然のことです。それにはやはり定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
自然素材の家のデメリットは「メンテナンスが大変」だとよく耳にしますが、どの素材でも掃除やメンテナンスは必要であり、自然素材の家だから特別に発生するものではありません。
また、素材により対応は微妙に異なりますが、例えば無垢材の場合、普段は乾拭きや掃除機をかけるだけで十分。これをデメリットと捉えるのは少しネガティブすぎる気がします。
とは言え、へこみやシミが付きやすいのも事実。適切なお掃除とメンテナンスをすることが、何十年経っても素敵な自然素材の家に住むための秘訣ですので、これから紹介するメンテナンス方法をぜひ参考にしてみてください。
無垢材のメンテナンス
- 普段のお掃除は、普通に掃除機をかけるだけで十分
- さらに綺麗にしたい場合は雑巾で乾拭き
フローリングモップを使えば立ったまま簡単に乾拭き掃除ができます。無垢材は小まめに拭き掃除をすることで木材ならではの光沢が出るため、たまに行うと家の雰囲気がさらによくなります。
湿った雑巾で頻繁に拭き掃除をすると、予め塗布されている自然素材ワックスが落ちてしまうので、水拭きは原則3カ月に1回、必ず固く絞ってください。
また粉末洗剤や液体洗剤を床の上に放置すると黒い斑点やシミが残るため、素早く拭き取りましょう。そして、汚れ落としに強酸性やアルカリ性の洗剤を使うのは絶対にNG。浸透性塗料は大丈夫です。
もし、数年に一度きちんとお手入れをするなら次の手順で進めるといいでしょう。
- ホームセンターで手に入る天然由来のワックスを使い、表面の汚れをスポンジで落とす
- 完全に乾いてから、軽くやすりをかける
漆喰のメンテナンス
- 漆喰は静電気が溜まらないためほこりが付きにくく、原則お掃除は不要
- 軽い汚れであれば、消しゴムや紙やすりを使って消す
- DIYだとやや難易度高めで、大がかりなメンテナンスは業者に依頼
子供が壁にクレヨンで落書きをしてしまったなどの場合、酸性系の洗剤(お酢やクエン酸など)を箇所に吹きかけ、歯ブラシでこすり、乾いた紙や布で拭き取れば落ちます。
クリーニングした箇所は湿った状態だと少し目立ちますが、乾けば目立たなくなります。
それでも落ちない汚れを綺麗にした場合は、ホームセンターなどで打っている漆喰を買ってきて、刷毛で上塗りすると汚れを隠すことができます。こては職人さんでないと使うのが難しいと思うので、刷毛がオススメです。
珪藻土のメンテナンス
- はたきや乾いた布で、ほこりやゴミを取り除く
- 水拭きは基本NG
表面についたホコリは、ハタキや乾いた雑巾、もしくは掃除機を使って落とします。注意すべき点は、力を入れ過ぎないことと、水拭きを避けることです。
珪藻土は力を入れてこすると傷が付いたりボロボロこぼれる可能性たあります。優しく撫でるようにお掃除しましょう。また、水分を吸収しやすい素材でもあるため、あまり水分量が多い雑巾で拭くと、シミの原因になるだけでなく、表面が柔らかくなり、粉が落ちやすくなります。
自然素材の家を中古で買うのはありか
自然素材で作られた家を中古で買いたいと考える方もいるでしょう。実際にそのような物件を中古で買うときに考慮すべき点があります。各ポイントをチェックして、問題ないと思ったら購入へ踏み切るのもありかもしれません。
自然素材の家を建てる人はこだわりが強い
わざわざ自然素材の家を建てるということは、こだわりが強い人が建てた可能性が高いです。つまり、その人のリクエストが色濃く反映された注文住宅であり、自身のライフスタイルに合うかどうかしっかりと吟味が必要です。
どこまで自然素材が使われているのか
万人に通用する自然素材の定義がないことは上述しました。ですから、部分的に自然素材が使われていればそれを自然素材の家と呼ぶことも不可能ではありません。
家のどこにどんな自然素材が使われているのかは事前に確認しておきましょう。また、例えば珪藻土でもカビ対策として樹脂が盛り込まれているものもあります。
素人が判断するには難しいポイントが多く、自然素材の家のクオリティーを見極めるのが難しいということは認識しておいた方がいいかもしれません。
自然素材の家は強度がある
家の価値というのは新築のときが一番高く、年々下がっていくものです。一方、木材の強さというのは実はその逆で、年を重ねる毎に強度が増すという特長があります。
樹種や乾燥方法、環境により変化するのは大前提としてありますが、ヒノキやモミ、スギといった針葉樹は特に伐採したときの強度に戻っていくと言われています。
合板などではなく無垢材の使用率が高ければ、一般的な木造住宅よりも強度が高い可能性はあります。
自然乾燥されていれば色や艶が残っている
無垢材は無垢材でも乾燥方法が異なることで仕上がりや経年変化が異なります。人口乾燥は素早く的確に含有水分率を下げることができますが、どうしても木が持つ自然の色や艶が落ちます。
自然乾燥はそのような長所を残すことができるため、空気を含めた家の雰囲気が良い状態で残っていることでしょう。
【参考文献】
- 木材なんでも小辞典(木質科学研究所)
- 木材大辞典200種(村山忠親/村山元春)
- 日本衛生学雑誌(高岡正敏ほか)
- 木材を用いたダニ防除と木材のにおいに対する快適感評価にもとづく室内環境の改善に関する研究(平松靖)
- 木材機能研究所
- 木材と感性 4.におい感覚と木材(谷田貝光克)
- 木材は高度な調質装置-木質内装材を使うことの健康上のメリット
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