調湿建材って何?木材の調湿効果と家づくりの注意点

2021/08/14(土) 健康と住宅の関係

調湿建材って何?木材の調湿効果と家づくりの注意点

調湿建材と調湿効果の紹介写真:当社お客様 S様宅

木材には"調湿"という性能が備わっているのをご存じでしょうか。木の性質として、周囲の空気環境を育った土地の空気環境に戻そうとする力が備わっていると言われています。その性質は自然に生えている木々だけでなく、住宅に使われている建材にも備わっていることが多くの研究者により報告されています。

今回のコラムでは、調湿建材とは何か、どの程度調湿の効果があるのか、そして自身の住宅に活用する際の注意点を紹介します。

 

調湿建材とは

調湿建材とは、文字通り調湿性能を持つ建材のことです。調湿性能とはつまり、極度に乾燥している空間では湿度を高め、湿度が高い空間では湿度を下げる力のことです。調湿建材で建てられた家は、室内の湿度が安定します。

 

調湿建材のメリット 

調湿力が高い調湿建材を使うメリットには何があるのでしょうか?

  • 多湿な環境を抑え、カビの発生を防げる
  • 極度乾燥を抑え、ドライ・アイや喉の痛み、内装材の反りなどを防げる
  • 機械での湿度調整負担が減り、節約+省エネ

ここ数十年で高気密・高断熱の住宅がより重要視されていますが、密室になればなるほど空気の流れが減り、湿度管理が求められます。多湿であればカビが非常に高い確率で発生してしまいますし、乾燥していれば肌荒れや喉の痛みなどご自身の体調に影響が出てきます。

カビは生えているだけで喘息やアトピー性皮膚炎の原因にもなりえるので、抑制するに越したことはありません。そこで内装材を調湿建材にすることで、自然の力で室内の湿度を安定させることができるのです。

 

どのくらいの量の木材を使えば調湿効果があるの? 

そこで気になるのは、どれくらい調湿建材を使えばいいのか、どのくらい調湿効果があるのかという点でしょう。

すでに様々な論文で木材の調湿効果は公表されていますが、中でも坂東慎二氏と佐道健氏が発表したコンピュータ・シミュレーションを用いた木材調湿機能の解析で、面白い実験結果が出ています。

 調湿建材の調湿効果について
出典:京都大学農学部演習林報告

まず上図をご覧ください。横軸のWood ratio(以下、木材面率)というのが部屋の総面積(床・壁・天井)に対してどれだけ木材の面積があるかを示す軸です。例えば家具などを一切置かず、全ての面(床・壁・天井)を木材にすれば、木材面率は100%になります。すべての面だけでなく、植物を置いたり木製家具を置くことで、木材面率は150%、200%へと拡大していきます。

そして縦軸のHSCは調湿係数です。HSCが高ければ高いほど調湿力があることになります。この表を見ると、木材面率が高ければ高いほど調湿係数が高まっています。これは、部屋の中で木の面積が多ければ多いほど、調湿係数が向上するという意味です。

ただし木材面率が100%を超えたあたりからカーブが緩やかになっているのが見て取れます。これは増加率が下がるという意味です。この図から出せる結論は、部屋の総面積の50%以上、できれば100%くらいを木材にすることを目指せば、調湿力が高い部屋を再現することができるということと、無理して150%や200%にする必要はないということです。

なお、同実験では調湿効果が強く見られるのは木材の表面3mm程度とされています。なので薄すぎない限り木の厚みはあまり関係ないということになります。木材内部は組織上水分移動が遅くなるのがその理由です。

 

調湿建材を使うときの注意点

ではただ単に内装材を木材にして、木製家具を置き、室内に植物を置けば快適なお部屋を作り出せるのでしょうか。少し細かいですが、実は気を付けるべき点が大きく2つあります。

 

塗装によって変化する調湿力

木材に塗装を施すと、本来の調湿機能が変化する可能性があることを覚えておいてください。三重県科学技術振興センター林業研究部の研究者である岸久雄氏の論文によると、木材塗装を行うと調湿機能がかなり変化すると実験で結論づけられています。

もちろん塗装の種類や塗装方法で差はでますが、原則下記のポイントが実験で明らかになっています。

  • 塗装の膜が薄ければ薄いほど吸湿性は高くなる
  • 水性アクリルエルマション塗装や浸透性タイプの自然塗料は吸湿性を保つ

塗装が薄ければ薄いほど吸湿力が低下しなくなるのは何となく想像できると思います。浸透性タイプの塗料に関しては、塗料を塗ったとしても木材の調湿力に大きな影響がないため効果的です。ちなみに水性アクリルエルマションとは、アクリル樹脂の塗料のことです。従来はシンナーを含む油性なものが多く有害ですが、水性の場合は健康への影響が少ないと言われています。

そして自然塗料にもいくつか種類があり、大きくオイル系・ワックス系・オイルワックス系の3種類に分けることができます。“自然“という言葉がついているだけに環境への負荷が低かったり安全性が高いというメリットがありますが、全ての自然塗料が100%安全というわけではありません。種類によってはホルムアルデヒドなどVO
Cを含むものもありますので、家を建てる際はどの種類を使うのか工務店やハウスメーカーに相談するのが得策でしょう。

調湿建材における塗装について写真:当社お客様 S様宅

 

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木材ならば何でもありは間違い?

調湿力をテーマとして家づくりをするのは素晴らしいことなのですが、とにかく木材や植物だけの家にすればよいかと聞かれたら、そういうわけではありません。木材でも自然素材(無垢材)と言われるものから接着剤が使用された合板、上述の塗装されたものなど様々です。

調湿力を高めるために仮に木材100%で家を建てたとしても、場合によっては化学物質などが原因で居住者や家自体が病気になるケースもあります。その理由は、先に少し触れた接着剤などの化学物質です。 化学物質の中でもホルムアルデヒドやトルエンなどがたくさん揮発する物質は特に注意が必要で、シックハウス症候群や化学物質過敏症、喘息、アトピー性皮膚炎といった病気を引き起こす可能性があります。

家の中にどのような化学物質が存在し、どうすれば取り除くことができるかは「シックハウス症候群に関する物質は何?症状と原因物質を簡単解説」で解説しています。また、調湿建材を選ぶ際も全体の何割を自然素材にするのがベストか、ご自身の希望などを含め工務店と相談しながら決めるとよいでしょう。過去のコラム「病気になる家の特長と予防策」では化学物質以外にもどのような要素が居住者の健康を害する可能性があるのか解説しているので参考にしてください。

 

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