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大人のアトピー性皮膚炎に悩む人必見!体質改善を助ける自然素材の家

2021/05/03(月) アトピーと住宅

大人のアトピー性皮膚炎に悩む人必見!体質改善を助ける自然素材の家

大人のアトピー性皮膚炎に悩む人必見!体質改善を助ける自然素材の家

かゆみを伴う湿疹が広がり、良くなったり悪くなったりを繰り返す症状が特徴的なアトピー性皮膚炎。通常は乳幼児期に発症し、皮膚のバリア機能の発達に伴って自然に治ることが多いため、子どものアレルギー疾患という印象が強いかもしれません。その印象から患者には子どもが多いと思われるかもしれませんが、実は大人でもアトピー性皮膚炎で悩む人は少なくありません。厚生労働省が実施した「患者調査」によると、2017年時点での患者数は全国で51.3万人。そのうちの32万人、約62%を20歳以上の患者が占めているのです。

大人のアトピー性皮膚炎は、子どものように成長による肌質の変化で改善することが望めないため慢性化しやすいといわれています。そのため、大人のアトピー性皮膚炎対策には、病院で指導される薬での治療や保湿剤によるスキンケアと並行して、身体の内外から肌のバリア機能を高めていくための働きかけを患者自身が積極的にしていく必要があります。

今回のコラムでは、大人のアトピー性皮膚炎の現状と薬以外でできる対策、体質(肌質)改善に自然素材の家がどのように役立つかについて解説します。

 

実は多い、大人のアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の患者数を年齢別に見ると、0〜19歳が全体の38%、20〜39歳が30.8%、40〜59歳が24.8%、60歳以上が6.8%(厚生労働省2017年「患者調査」による)。下のグラフで見ると、乳幼児だけでなく20代・30代・40代の成人にも患者の分布が多いことが一目瞭然です。

成人患者の場合、子どもの頃に発症したものが大人になっても治らない難治化パターン、いったん改善した症状がぶり返す再発パターン、大人になってから初めて症状が出る後天性パターンがあり、発疹が出やすい部位も子ども時代とは変わってきます。アトピー性皮膚炎は年齢によって患部が異なるのが特徴のひとつで、大人(思春期・成人期)では頭、首、胸、背中など上半身に湿疹が出る傾向があります。

年齢別総患者数

 

大人アトピー、原因は?

原因は基本的に子どもと同じく、バリア機能が弱く乾燥しやすい肌に何らかの負荷がかかることで発症します。大人の場合、思春期に増えた皮脂が再び減ってくることによって肌の乾燥が加速するのも一因です。発症の引き金となる要因には遺伝、乾燥、ダニ、化学物質などがあげられますが、大人の場合はストレスや生活習慣から来る影響も大きいと考えられています。

大人のアトピー性皮膚炎の主な原因

  • 肌の乾燥
  • アレルゲン(ダニ、カビ、花粉、ハウスダスト、食物など)
  • 外的刺激(汗、衣類による摩擦、ひっかき傷、洗剤、化粧品など)
  • ストレス
  • 睡眠不足
  • 生活リズムの乱れ

 

対策は?薬以外でできること

すでにできてしまっている湿疹に対しては、医師の指導のもと、標準の薬物治療でしっかり治していく必要があります。それと並行して、保湿剤によるスキンケアで肌の乾燥を防ぎ、アトピー性皮膚炎の原因・悪化要因を取り除く対策を取っていくことが改善への近道となります。

標準の治療

  1. 薬物療法:ステロイド外用薬(副腎皮質ホルモン)、タクロリムス軟膏(免疫抑制剤)
  2. 皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア
  3. 悪化因子の検索と対策

※出典: 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018」(PDF)

塗り薬や乾燥対策を行っても症状が良くならない場合は特に、家の中の環境や生活習慣にも目を向けてみましょう。子どもと違って、自分で悪化要因を取り除いたり、対策できるのが大人の患者の強みでもあります。

生活環境・生活習慣のチェックポイント

☑️ 部屋:有害化学物質を発生する建材や家具はないか、風通しと日当たりは良いか
☑️ 布団:ダニが発生しやすい羽毛やウールを避ける、掃除機で掃除、定期的に丸洗い
☑️ 衣類:清潔な肌着を身につける、通気性・吸湿性が良いか
☑️ 食事:暴飲暴食しない、バランスよく規則正しい食事習慣
☑️ ストレス:ためない工夫、発散方法を見つける、リラックスできる環境
☑️ 睡眠:十分に質の良い睡眠が取れているか
☑️ 石けん、シャンプー:界面活性剤を避ける
☑️ スキンケア:患部を清潔に保つ、入浴後3分以内に保湿剤・治療薬をつける
☑️ 洗濯:柔軟剤・漂白剤・静電気防止剤は避ける

 ※ダニ・カビ対策や有害化学物質がアトピー性皮膚炎に与える影響に関しては、 こちらの記事をご覧ください。

 

大敵はストレスと睡眠不足

大人のアトピー性皮膚炎を語る上で無視できないのがストレスの存在です。学校や会社生活でのストレスは「かく」行為につながるからです。肌をかきむしることで元々弱い肌のバリア機能がより低下し、アレルゲンが侵入しやすくなってさらにかゆみが強まり症状が悪化するという負の連鎖をまねいてしまうことになります。ストレスの発散方法を見つけることも大事ですが、1日の多くの時間を過ごす家の中、自分の部屋でストレスを軽減できたら理想だと思いませんか?そのカギを握るのが自然素材を建材に使った住宅です。自然素材の代表=木を使った家に住むメリットは、木が空気中に放散する成分の恩恵を受けられることです。この成分には、アトピー性皮膚炎の大敵であるストレスを軽減したり、肌質改善に欠かせない質の良い睡眠をもたらしてくれる効果があります。

木の住宅がもたらす効果

  • リラックス効果
  • 抗ストレス作用
  • 空気浄化作用
  • 安眠作用

 

木の成分が体質改善に効く?

ストレス軽減や安眠をもたらしてくれる木の成分の正体は一体何なのでしょう?それは、「フィトンチット」と呼ばれる木々の香り成分です。森林浴をすると爽やかな気分になるのは、このフィトンチットの働きによるものです。フィトンチットの主な成分はテルペン類と呼ばれる有機化合物で、その効果にはリフレッシュ、消臭・脱臭、抗菌・防虫などがあります。この香り成分には、大人のアトピー性皮膚炎の発症・悪化に大きく影響しているストレスや睡眠不足を軽減・改善する効果があることが分かっています。では、具体的にどの成分がどのような効果を持つのかを見ていきましょう。

モノテルペン炭化水素類の抗ストレス作用

ヒノキ、スギ、モミなど日本で建材としてよく使われる針葉樹の精油には、抗ストレス作用があることが知られています。針葉樹に多く含まれる「モノテルペン炭化水素類」に、ストレスの特効薬である副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)と同じような作用があるためです。その香り成分は神経系や免疫系などに働きかけ、ストレスの解消や心身のリラックスに効果があるといわれています。その代表的な成分であるピネンは、森林浴効果をもたらします。また、爽やかさのあるリモネンの香気成分は、呼吸から体内に入ると、脳内でリラックス時に発生するアルファ波が出るといわれています。ピネンとリモネンの相乗効果によって神経の興奮を静め、ストレス緩和や血行促進作用が期待できるのです。

針葉樹葉油の成分含有率比較

モノテルペン類の空気浄化作用

きれいな空気は健康上はもちろん、精神的にリラックスする上でも大切な要素です。針葉樹に多く含まれるモノテルペン類は、屋内空気をクリーンに保つのを助けてくれる成分です。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の大平辰郎氏による論文では、二酸化窒素の浄化率が高い樹種(実験内ではトドマツ)の葉油にはモノテルペン類が含まれていることをあげています。このモノテルペン類は、モミ葉にも多く含まれている活性物質です。

また、東京大学名誉教授の谷田貝光克氏による論文によると、モノテルペン類はホルムアルデヒドを吸着・除去する能力が高いと推測されています。これは、ホルムアルデヒド除去能の高い樹種の樹木精油にモノテルペン類が多く含まれているためです。数ppmのホルムアルデヒドを、スギ、モミ葉油は80%以上除去することが明言されています。

 樹木精油によるホルムアルデヒド除去率

酢酸ボルニルの安眠効果

睡眠不足が肌質や皮膚バリア機能の低下をまねくことは、いくつかの研究によって実証されています。バリア機能の低下が大きな要因であるアトピー性皮膚炎においては、質の良い睡眠を十分取ることが症状の悪化抑制につながるともいえます。九州大学大学院農学研究院森林圏環境資源科学研究室の清水邦義教授は、マツやモミなどのマツ科樹木の精油に多く含まれる成分のひとつである「酢酸ボルニル」の安眠効果を報告しています。同氏の研究では、自律神経の緩和効果を持つ酢酸ボルニルの自律神経緩和効果により被験者の就寝時間が早まったことで睡眠の質と主観的な肌質の向上につながったと結論づけています。

 

まとめ

大人のアトピー性皮膚炎の改善には、薬による治療、保湿剤によるスキンケア、生活環境・習慣の見直し、の3本柱をバランス良く行っていくことが大切です。生活習慣を見直す上で重要なポイントとなるのは、規則正しい生活を送る、ストレスを貯めない、質の良い睡眠を十分に取ること。ストレス軽減、睡眠の質向上の2点において、木の住宅が大きな効果をもたらしてくれることはさまざまな実験で証明されています。木が放散する成分には今回紹介した「抗ストレス作用」、「空気浄化作用」、「安眠効果」だけでなく、前の記事であげたように肌の乾燥を防ぐために大事な「調湿効果」や「防ダニ効果」などもあり、アトピー性皮膚炎対策に最適な素材と言っても過言ではありません。ご自身の身体や症状と相談しながら、ハウスメーカーや工務店と最適な素材を検討してみてください。

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