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【ペットと住環境】ペットの健康を守るために注意すべきポイント4点

2021/03/20(土) ペットの健康と住宅

【ペットと住環境】ペットの健康を守るために注意すべきポイント4点

【ペットと住環境】ペットの健康を守るために注意すべきポイント4点

犬や猫を飼っているご家庭が新築で家を建てる場合、ペットが健康で快適に過ごせるかどうかも考慮すべきポイントとなります。ペットフード協会の「2020年全国犬猫飼育実態調査」によると、ペットの室内飼育件数は犬で約84%(屋内のみ、散歩・外出時以外は屋内)、猫で約90%(同)。つまりペットたちはほぼ24時間家の中のみで生活しているということです。完全室内飼育でないペットでも、家族の外出時はお留守番として残されることも多く、家の中で過ごす時間は人間よりも長くなりがちです。

ペットにとって快適とされる住環境は基本的には人間にとっての 健康的な住環境と大きく変わりませんが、以下の3点に注意を払う必要があります。 

 ◎体が小さいぶん環境からの影響を受けやすい

 ◎人間よりも床に近い環境で生活している

 ◎室内飼育のペットは24時間家の中の空気を吸って生活している

 

今回のコラムでは、ペット共棲住宅を建てる際、その健康を守るために気を配るべきポイントを4つ紹介していきます。

 1.空気環境

 2.ペットのアレルギー

 3.温度管理

 4.化学物質とシックハウス症候群

 

空気環境

ペットの健康を守るためにまず第一に考えたいのが空気環境です。体高が低く、頭や体が床に近いペットは、空気環境が悪化すると人間以上にその影響をまともに受けてしまいます。

 

対策1:定期的に換気をする

換気がきちんと行われていないと床にゴミやホコリがたまりやすくなります。ペットがそれを吸い込んでしまうのはもちろん、犬は床に落ちているゴミやホコリを食べてしまったり、猫はグルーミング時に間接的に舐めてしまう危険があります。また、人間が外から持ち込んだウィルスや花粉が床面に沈着し、ウィルスに感染したりアレルギーを引き起こすリスクもあります。

特に今はコロナウィルスの感染が猛威を振るっており、動物への感染も報告されていますので、定期的な換気を心がけるべきです。室内環境学会の資料では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が表面に付着した場合、木材や布は2日後まで、ガラスは4日後まで、ステンレス鋼やプラスチックは7日後まで活性を有していたとする研究結果が報告されています。また、室内を漂うエアロゾル中の新型コロナウイルスは換気をしなければ1時間後でも半分が活性を持っている可能性があり、一般的な換気回数では十分でないため積極的な窓開け換気が推奨されています。

※換気回数:1時間あたり部屋の空気のどのくらいが外気と交換されるかを示すもので、1回/hは1時間で室内の空気全てが外気と入れ替わることを意味しています。 日本の一般家屋の日常生活時の換気回数は、春夏で1.2〜1.7回/h、秋冬で0.6回/h程度です。

 

対策2:過乾燥、高湿度にしない

犬や猫は乾燥しすぎも湿気が多すぎるのも苦手です。品種によって適切な湿度は異なりますが、一般的には50~60%が適しているとされています。湿度が70%を超えるとダニやカビが繁殖しやすくなり、アレルギーや皮膚病の原因になります。さらに猫はアンテナの役割を果たすひげに湿気がたまると感覚が鈍るため、ケガを避けるためにも高湿度は避けましょう。

調湿と聞いてすぐ思い付くのは夏場はエアコン、冬場は加湿器を利用することですが、もっと簡単な方法は家を建てる際に調湿に優れた建材を使うことです。木材は、空気中の湿度が高くなると湿気を吸い、乾燥してくると放湿する「調湿作用」を持っています。調湿作用に優れた素材である木材を多く使うことで、家の中の湿度の変動を最小限に抑えることができるのです。

※出典: 林野庁Webサイト

 

一度家を建ててしまえば家電製品のオンオフに煩わされることもなく、かつ省エネルギーで電気代が節約できるというメリットもあります。

では木材なら何でもいいのかというと、やはり種類によって作用が高いものとそうでないものがあります。針葉樹は木材の細胞が大きく、成長時に多くの水分を必要とするため調湿量が多いことで知られています。その中でも高い調湿力で近年注目を集めているのがもみの木で、内装材として使用した際には室内湿度をほぼ安定して60%に保つことができるという調査結果があります。これは、ペットにとっても適した湿度です。木材の種類だけでなく、乾燥方法(自然乾燥か人工乾燥か)や木の製材(柾目材か板目材か)によっても調湿効果に違いがありますので、工務店やハウスメーカーに相談しましょう。

 

ペットのアレルギー

ペットも人間同様、食や環境要因でアレルギーを発症します。住環境と関係のあるところで注意したいのがハウスダスト中のダニ、カビ、花粉。犬や猫のアトピー性皮膚炎のアレルゲン(抗原)になるダニは、フケ・ホコリ・カビなどを餌に生きています。ペットの場合もアレルギーの発症は体質に依るところが大きいですが、一度なると慢性化し完治が難しく、対処療法で症状をコントロールしながら付き合っていくことになりますので、まず発症させないこと=アレルゲンの除去が重要です。

 

アレルゲンを除去するには?

 ◎掃除機をこまめにかける

 ◎床を水拭きする

 ◎洗濯をこまめにする

 ◎ダニが発生しやすい家具(じゅうたん、布製ソファー、クッションなど)を置かない

 ◎カビの繁殖を抑える(湿度コントロール)

 ◎空気清浄機を使う

 

生きたダニだけでなく、人間やペットの動きで舞い上がったダニのフンや死骸は一定時間空気中を浮遊するため、床に近いペットは人間より多くアレルゲンを吸い込んでしまいます。そうは言っても1日に何度も床掃除をしたり常時湿度に気を配るのは飼育者にとって現実的ではありません。そこで注目したいのが木の住宅です。農林水産省森林総合研究所森林化学科長谷田貝光克氏の論文では、抗菌作用の強い木材はカビの繁殖を抑えることが可能であり、床を畳やカーペットから木の床に改装すると改装前に比べてダニ数が激減したと報告されています。カーペットなどのダニのすみかがなくなった物理的要因だけではなく、ダニの繁殖を抑制する木の成分の作用によるものです。

 

温度管理

ペットとの共棲において最も注意しなければならない病気は熱中症です。ペット保険を提供するアイペット損保が実施した調査によると、ペットに対して熱中症を疑ったことがある飼育者が約4割、熱中症を疑った状況は「家の中」が最も多いことが分かりました。犬や猫は常に毛皮を着ている上、体温を調節する機能を持つ汗腺が鼻や足の裏の肉球など限られた部位にしかないため、熱中症予防には飼育者による適切な室温管理が不可欠です。

 

ペットにとって適切な室温は?

では、ペットにとって快適に生活できる室温は何度なのでしょうか?犬の場合は、犬種によりますが屋内飼育であれば20度前後、猫の場合は、人間と同じか1〜2度低い程度が適切と言われています。

 ◎適温の目安は夏25~28度、冬20~23度

 ◎ヒートショックを避けるため、家の中になるべく温度差を作らない

 ◎ペットの寝床は窓際から1メートル以上離す

 ◎ペットが自分で体温調節できる場所を用意する(暖かい毛布、冷たい床)

 

また、ペットが持病持ちであったり高齢の場合は特に、急激な温度変化によって身体に負担がかかりショック症状や心臓発作を引き起こすヒートショックにも注意が必要です。各部屋でできるだけ4度以上の温度差を作らないのがペットにとっても望ましい屋内環境です。

 しかし冬場、暖房器具を使って全ての部屋を暖かく保っておくためには相当な電気代がかかってしまいます。家を建てる際は、断熱性の高い建材を使って少しでも省エネで手間なく室温管理ができるようにするのが得策でしょう。断熱性が高いというのは、つまり熱伝導率が低い素材です。下の表を見ていただくと木材は鉄に比べて約830倍、コンクリートに比べて10倍断熱性に優れていることが分かります。木は多くの空気を含んだ素材であるため外気の影響を受けにくく、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室温が保たれるのです。

※参照:木材機能研究所

 

木材は素材としては暖かいものの、木造住宅の場合、壁や窓枠のちょっとした隙間から空気の出入りがあるのは避けられませんので、温度コントロールの観点からも高気密化・高断熱化がベストです。高気密・高断熱の家は前述した空気環境 アレルギー対策 の点で頻繁な換気を心がける必要がありますので、メリットとデメリットを鑑みて検討してください。

※参照:【健康と住宅の関係性】新築購入前に知っておくべき必須知識5

 

化学物質とシックハウス症候群

空気環境の項目でも触れましたが、ペットは人間より身体が小さいぶん化学物質の代謝解毒作用が劣るためその影響を受けやすくなります。化学物質などによる屋内空気汚染から目がチカチカする、鼻水、吐き気、頭痛などの症状が出ることをシックハウス症候群と呼びますが、ペットでも同様の被害が報告されています。主な原因は、建材や家具などに使われる接着剤、防腐剤、可塑剤などから放散される揮発性有機化合物(VOC = Volatile Organic Compounds)により屋内の空気が汚染されること。また、カビやダニ、石油ストーブやガスストーブなどの暖房器具、タバコの煙も原因になります。比重が重い化学物質はハウスダスト同様床面に滞留するため、床に近い場所で生活するペットは人間以上の影響を受けてしまうのです。

 

厚生労働省が指針値を示す14物質を見ても、家の中のあらゆる場所でシックハウスの原因となりうる材料が使われていることが分かります。

 

シックハウス症候群への対策

ペットのシックハウス症候群であげられるのは以下のような症状です。化学物質の代謝能力には動物間で差があり、特に猫は化学物質を解毒する酵素を作れないことが報告されていることから、環境には十分注意を払う必要があります(愛媛大学大学院農学研究科の水川准教授らによる研究結果)。

 ◎イライラし、頻繁に鳴く・吠えるようになった

 ◎赤みが出る、かゆがるなどの皮膚炎

 ◎鼻水が出る

 ◎疲れやすくなり、寝ている時間が増えた

 

シックハウス症候群を防ぐ方法として大切なのは換気と掃除です。換気の際は複数個所の窓を開けて風の流れを作ることがポイントです。また、家を建てたりリフォームする際にVOCの発生源を減らす、VOCを吸着・除去する自然素材を使うことも有効です。建材に自然素材を使う方法は、一度家を建ててしまえばランニングコストや手間がかからないというメリットがあります。

VOCを吸着・除去する自然素材の例としてひとつ、空気環境の項目でも触れたもみの木をあげると、シックハウス症候群の原因物質の一つとされているホルムアルデヒド除去率に関して、モミの葉が高い数値を記録していることが発表されています(国立研究開発法人の大平辰郎氏による研究)。

 

漆喰や珪藻土の壁でVOCの吸着を促す、接着剤が多く使われている合板を避け無垢材のフローリングにする、など手法は様々です。どこまで自然素材にこだわるか、工務店やハウスメーカーと相談しましょう。

◎自然素材を使った建材例

 壁材   漆喰、ホタテ漆喰、シラス漆喰、珪藻土

 壁紙      和紙、卵の殻

 断熱材  炭化コルク

 床材   無垢材、コルクタイル、竹、大理石

 接着剤  にかわ、米のり

 塗料      柿渋、米ぬか

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