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木造住宅の長所を最大限活かす方法 ‐ 自然素材の有効活用

2021/03/15(月) もみの木と自然素材

木造住宅の長所を最大限活かす方法‐自然素材の有効活用

木造住宅の長所を最大限活かす方法 ‐ 自然素材の有効活用

木造住宅には鉄骨や鉄筋コンクリート造と比べて様々なメリットや付加価値がありますが、その中でも特筆すべきは自然素材を使ったときの「居住者の健康への貢献」です。建材といっても多種多様で、例えば人工乾燥したもの、天然ではなく造林したものでは、木そのものが備える本来のポテンシャルの発揮の仕方が大きく異なります。

木造の新築戸建てを建てる際、まずは自然素材を検討するのが得策です。そして自然素材を検討する上で、どのような工夫をすれば自然素材の付加価値を高められ、木造の長所を最大限引き出せるかを解説します。

自然素材の特長

そもそも自然素材とは、合成化学物質が使われていない無添加の天然素材を意味します。極端に言えば舐めたり口に入れたりしても問題なく、より健康的な素材ということです。また、自然素材を使うことで木造住宅の長所を伸ばし、短所を補うことができます。木造の長短所として一般的に挙げられる事柄が以下です。

【長所】

  • 高気密・高断熱
  • 湿度を一定に保つ(高調湿力)
  • 高リラックス効果
  • オープン工法
  • 鉄骨や鉄筋コンクリート造と比べて安い

【短所】

  • 害虫に弱い
  • 品質や強度にばらつきが出る
  • 広い空間を作ろうとすると柱が必要になる

長所と短所で各ポイントを挙げましたが、その中でもグリーンの項目は、質の良い建材、すなわち自然素材を使うことで改善することができるところです。このように見ると、木造住宅が本来抱える短所がほぼなくなり、さらに通常の材木を使うよりその長所を最大限引き出せます。

木造・鉄骨・鉄筋コンクリート造の詳しい比較

 

自然素材において重要なこと

では、どうして自然素材にすると害虫に弱いという短所を補えたり、リラックス効果という長所を高めたりできるのでしょうか。次の2点を抑えることが大事になります。

  • 天然木であること
  • 自然乾燥であること

ただ合成化学物質が使われているかどうかではなく、天然木であることが重要です。なぜなら、造林木ではリラックス効果や抗菌の元となるフィトンチッドという成分が減少してしまうからです。また、自然乾燥ではなく機械乾燥をさせてもフィトンチッドは減ってしまいます。

木造のメリットは、木という素材を使うことで得られるリラックス効果、消臭・抗菌効果などがありますが、これらは全てフィトンチッドという木々から発せられる成分がもたらす効果です。つまり「天然木」で「自然乾燥」された自然素材が、木造の長所を最大限引き出すということです。

つまりフィトンチッドが多い自然素材を使うことで、その先に得られる付加価値が最大化されるという理論です。農林水産省も公表している通り、具体的なアドバンテージとしてリフレッシュ、消臭・脱臭、調湿、抗菌、防虫効果があります。つまり、フィトンチッドを高めることで合成化学物質などを多用することなく害虫に弱いという弱点を克服できます。そしてカビの発生につながる湿気も調湿力でカバーされ、さらに消臭や抗菌、リフレッシュ効果を高めてくれます。

柾目と板目

自然素材の価値をさらに高めるのが柾目の使用です。材木に詳しくない人にとっては馴染みの薄い言葉かもしれませんが、簡単に言えば木のどこの部分を使うかによって性能が変わるということです。下図のAが柾目と呼ばれる部分で、最も希少かつ丈夫で高性能です。

柾目というのは縦にまっすぐ入る木目のことで、木を切断したときの木目の入り具合によってその呼び方が変わり、性能も相応して変化します。柾目の特長としては「反らない」「カビ菌を嫌う」「調湿性」などがあります。調湿力が高いということは、乾燥する冬に湿度を高めたり、ジメジメする夏に湿気を吸って湿度を下げたりしてくれるということです。これによる健康への最大のメリットは、人体にとって有害なカビが発生しづらくなることでしょう。自然素材の中でも特に柾目の特長を理解して使用箇所を選ぶことで、木造の大きな長所である調湿力を高めましょう。

フローリングが浮造り(うづくり)

自然素材の木材を使うことでフィトンチッドの効果を活かすことができると話してきましたが、それは床に関しても同じです。カーペットやタイルなど様々なタイプがありますが、木を使った床をフローリングと呼びます。フローリングには無垢の板、突板合板、塩ビ合板などの選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。ですが木造の長所を活かすという意味では、浮造りされた無垢材を採用するのが効果的です。なぜなら浮造りにするこで冷え性対策になり、素足での生活がより快適になるからです。

そもそも浮造りとは、床材の表面部分をブラシで削ることでで木目(年輪)の硬い部分を残し、柔らかい繊維部を削って僅かな凹凸を出すこと。つまり素足と床の間に僅かな隙間ができることになります。隙間があるイコール空気がある。そして空気が断熱材となり、冬場は接着面の体感温度が上がり、夏場は体感温度が下がるという仕組みです。少し専門的な話になりますが、木材はコンクリートの10倍以上熱伝導率が低いのですが、空気はその木材よりも約6倍熱伝導率が低く、実は優秀な断熱材なのです。

浮造りの特長である凸凹の刺激が強すぎるないかと懸念されることがあります。それに関して、鳥取大学医学部の基礎看護学講座が接触感覚評価の研究を行っていますが、浮造りの「刺激が強すぎることはない」と実験から結論づけています。また浮造り加工には、滑りにくくなることで安全性が高まるメリットも発表されています。

しかし反面、デメリットとしてはへこみやすいという特長があります。表面を削れる木材ということは柔らかい材質ということ。そもそも硬い広葉樹のフローリングは、室内でも靴で過ごす文化をもつ西洋から来ており、その場合肌触りは関係なく傷がつきづらいという点で冷たく硬い木が使用されています。一方、日本は素足で過ごす文化のため肌触りや体感温度はとても大事です。ですが、例えば子供がおもちゃを落としたりすることでもへこんでしまうリスクがあります。そのような傷は子供たちの成長の記録と考えられるかなど、木の特長への理解は必要です。

そのデメリットを受け止められるのであれば、床を浮造りにすることで自然素材の温もりとフィトンチッドを最大限に感じることができるでしょう。

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